スレイヤーズSS2

読みやすくするため、Twitter掲載時と順序を変えています。

『『処女』と『涙』が出てくる春の感じのお話を書いてください。』

桜の舞う夜、青年は寝台の上で花嫁をふわりと抱きしめた。「長かったな」「とうちゃんが結婚するまでは駄目だってうるさかったもんね」茶化すものの少女は緊張で震えていた。「俺も大事にしたかったし」青年の言葉に少女は涙を流す。それがいじらしくてぎゅっと抱きしめた。「改めてよろしくな奥さん」

『日が沈み始める頃合ね。「夏の暑さ、砂漠、バター」であなたは何を想像する？ 』

「このあたりの飲み方なんだ」夏の砂漠越えで疲れはてて、宿で寝ていたあたしの前で、相棒はポットの中にバターや砂糖を入れて香茶を煮詰めた。「出来たぞ」差し出された香ばしい香りのするカップに恐る恐る口を付ける。「美味しい」思わず呟くと、「だろ」と相棒が得意気に笑った。

『日が沈み始める頃合ね。「果実、父、夏」であなたは何を想像する？』

夏の青空の下で、この地方の特産の果実……葡萄は大きく実をつけようとしていた。「今年は豊作になりそうなのか？……お父さん」投げかけられた言葉に黒髪の男は頷こうとしたが、「おい、天然！　『お父さん』なんて呼ぶな！　俺はまだ認めていないぞ」未練がましく彼は、娘婿に向かって叫んだ。